黄金孔雀―少女少説傑作選カラサワ・コレクション〈3〉 (少女小説傑作選カラサワ・コレクション (4))
- 作者: 島田一男,唐沢俊一,ソルボンヌ K子
- 出版社/メーカー: ゆまに書房
- 発売日: 2004/08
- メディア: 単行本
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「少女少説傑作選カラサワ・コレクション」の第4巻。島田一男による少女向けミステリです。
小玉博士の娘ユリ子は、12歳の誕生日の前日に二人の怪人に出会います。それが黄金孔雀と一角仙人。ふたりはユリ子に誕生日に贈り物を渡すと告げます。次の日、黄金孔雀から孔雀石という宝石が贈られました。ところが当のユリ子は一角仙人にさらわれてしまいます。一角仙人に挑むのは謎のヒーロー黄金孔雀、それにユリ子の友人のルミ子と、その兄で素人探偵の香月先生。さらに謎のインド人少年ランガも加わってユリ子を守るために戦います。
そういうわけで難しいことは何も考えずに、黄金孔雀と一角仙人のばかばかしくも愉快な勝負を楽しめばOKです。ミステリ的なトリックには特に驚くべきものはありませんが、そのほかの点では驚きの連続です。終盤で黄金孔雀が20人に増殖した場面ではぶったまげました。こんなことになったら戦意を喪失しそうなものですが、それでも逃げ出す気力の残っていた一角仙人はなかなか根性のあるやつだと思います。
一番の驚きは、誰も諸悪の根元である親父を糾弾せず、ユリ子が喜んでインドに旅立っていったことです。小玉博士は以前インドの山奥で孔雀王国の王様に命を救われました。そのお礼に、ユリ子を王女として孔雀王国に渡すといいかげんな約束をしていたのです。そして、博士の気が変わって約束を反故にしたために問題がこじれてしまったのです。まったく困った親父さんです。ユリ子もユリ子で、よくこんな親父の勝手な約束に従うものだと思います。いくらインドのお姫さまの地位が魅力的でも、親父に文句の一つもないのでしょうか。