「よーすけとはな」(光瀬龍)

「よーすけとはな」(光瀬龍

 よーすけの家はペットショップを開いています。ある日とうさんの知り合いの平さんが、かわいい犬を売りつけにきました。よーすけは犬にはなという名前を付けて、すぐ仲良くなるのですが……。
 動物と交流するほのぼの小説かと思いきや、このあとすぐ宇宙人のロボットが暴れ出し、宇宙戦争ばりのパニック小説になります。よーすけたちは平さんの運転する車に乗って逃げますが、平さんの様子がおかしくなります。平さんは運転が下手なはずなのにものすごいスピードでぶっとばし、子供達が何を言っても聞き入れません。で、はなの正体が明かされ、よーすけ達は敵の宇宙人と戦うことになります。
 宇宙人の友達を助けるという燃えストーリーが、息をつかせぬ怒濤の展開で語られます。ものすごい兵器を手に入れるわけでもなく、子供にできる手段でロボットを倒すというのがいい。しかし、宇宙人の友達は催眠術の使い手で、車を暴走させていた平さんも実は操られていました。よーすけも操られているのではないかという疑惑が最後まで解消されないのが不気味です。
 ロボットに破壊される町のパニック状況、宇宙人との戦闘、はてはペットショップの内部事情まで細かい描写が丁寧にされていて、非常に読みごたえがあります。時間を忘れてSFの楽しみに浸れる作品です。