- 作者: 芦辺拓
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2005/05
- メディア: 単行本
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「ネオ少年探偵」というタイトルからわかるように、レトロ趣味を感じさせる江戸川乱歩的世界が展開されています。たとえば圭たち少年探偵団が悪党を発見する場面はこのように語られます。
なんという幸運でしょう。いや、その正反対かもしれません。だってそうではありませんか。電送怪人は絵を盗む前には、密室にたてこもっていた青岩銀平をおそらくは同じ人体転送技術を使って、むざんに殺害しているのです。
そんなやつが、圭たちに後をつけられているのに気づいたら、何をしでかすかしれません。あぶない、あぶない。三人はいったいどうなるのでしょうか……。
懐かしい語りかけ文体。それだけでもうおなかいっぱいなのですが、さらに子供を非現実に誘い込むアイテムとして携帯電話が使われているあたりに現代性も感じられ楽しませてくれます。
芦辺拓は一般向けのミステリでも定評があり、もちろんこの作品も正統派の本格ミステリになっています。いたいけな少年少女をはてしないミステリ無間地獄へ誘い込む罠として活躍してくれそうです。