「恋愛ポリス殺人事件！？ アイドルはラクじゃない」（西川つかさ）

恋愛ポリス殺人事件!?―アイドルはラクじゃない (講談社青い鳥文庫)

　「アイドルはラクじゃない」シリーズ三作目。いつの間にか青い鳥文庫で二番目に楽しみにしているシリーズになってしまいました*1。今度はミステリですか。西川つかさは一作ごとに作風をかえてくるから油断ができません。表紙は見ての通り婦警コスプレです。いったいどんな客層を狙っているのか想像もつきません。
　花園麗子とユニットを組み新曲「恋愛ポリス」を発表することになった笑わし隊。ところが笑わし隊の指導者、怪しげな占い師葵さんが、「だれかが……血まみれになってたおれているっ……。」という不吉な予言をします。はてさて、予言の災難にあうのはだれから恨まれていても不思議のないドロドロ女花園麗子か、それとも……。
　花園麗子最高。決して自分の手を汚さず、汚れ役はすべてマネージャーに押しつける。前半は彼女の性格の悪さをたっぷりと堪能できます。ここまで性格が悪ければ殺されても文句は言えないでしょう。中盤にはお約束の漫才あり、後半はダイイングメッセージの謎解きあり、さらにさりげなく誕生日や電話番号を聞き出すナンパテクの伝授ありと、盛りだくさんの内容になっています。
　心配されていたブー子もめでたくリバウンドしました。でも、ちょっとこの問題はあっさり解決させすぎたように思います。ブー子が今の自分に限界を感じてリバウンドを決意するイベントがあってしかるべきでしょう。あっさりしすぎていてもったいないと思います。
　ミステリ部分はダイイングメッセージものですが、ダイイングメッセージの「ＷＣ」と登場人物紹介の欄を見れば、主人公がミスリードされる部分も含めて展開が全部予想できるレベルです。ミステリファンには物足りないでしょうが、初心者には謎解きの過程が笑わし隊の面々と同じペースで体感でき楽しめると思います。しかし第一章で犯人の名前をネタバレする反則技には恐れ入りました。

*1:１番は「ふつうの学校」