「ぬまばあさんのうた」(岡田淳)こそあどの森第8作

ぬまばあさんのうた (こそあどの森の物語)

ぬまばあさんのうた (こそあどの森の物語)

ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬまばあさん
ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬまばあさん
いつもいねむりぬまのそこ
こどもがくるとでてくるぞ
つかまえられたらさあたいへん
おおきなおなべでぐつぐつぐつ
ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬまばあさん
はしるのおそいぬまばあさん
あるくのおそいぬまばあさん
だからはしればにげだせる

 湖の向こう岸になにかきらきら輝くものを見つけたふたごは、それを「夕陽のかけら」と名付け探しに行くことにします。しかしそこは以前ふたごがぬまばあさんに捕まったことのある危険な場所。ふたごは用心棒としてスキッパーを無理矢理誘い出し、湖の冒険を開始します。
 冒頭のこそあどの森の住人が夕焼けに見とれる場面が印象的です。一読してから読み直すと、黄昏、誰彼からはじまることがこの後の展開を象徴しているように思います。
 とにかく安定して面白い作品なのであまり多くを語ることはできません。全ての伏線が収斂し、物語の快楽を満喫できる最終章まで、一直線に読み進んでいけます。
 今回は歌を利用したいかにも童話的な仕掛けが面白かったです。ふたごが歌遊びでぬまばあさんのもとから脱出する場面の緊迫感は最高でした。