- 作者: 泉啓子,関口シュン
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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レンはアメリカに行き、中学生になったツバサとユキノもクラスが離ればなれになってしまいました。ユキノのクラスは担任が抑圧的で空気が悪く、ユキノはそんな中でいつものように委員長っぷりを発揮したために、クラス内で孤立してしまうことになります。クラスの違うツバサはそんなことはつゆ知りません。ユキノの女友達からの手紙で事態を知ったレンはユキノのピンチを救うために帰国し、学校に乗り込んでいきました。
クラス内での力関係は流動的で、個人の資質や思惑とは無関係に悪化してしまうものです。中学生ですからクラスという狭い世界のほかに逃げ場を確保するのが難しい。今の自分が強制的に学校に通わされる身分でなくて本当によかったと思ってしまいます。
いつもの生きのいい委員長を召還するためにとりあえず問題を起こしてユキノを怒らせることにするレンとツバサ。委員長萌えの男ふたり、さすが幼なじみだけあってユキノの習性を知り尽くしています。
信頼できる友達、秘密基地に象徴される帰るべき場所を持っている彼らは恵まれた子供ではあります。それでもなんらかの生きづらさは抱えていかなければなりません。ラストのユキノのモノローグが印象に残りました。
宿題はたくさんあるけど、急ぐことはない。少しずつ、わたしらしく……ツバサじゃないけど、わたしもユキノを一二年やってきたんだから……ほかのだれでもない、これからもずっとユキノをやりつづけていくしかないのだから……。
ところでこの巻には、ひとりとてもかわいそうな子が出てきます。冒頭の登場人物紹介にものっている重要なキャラなのに、こっぱずかしい初恋エピソードまで披露したというのに、ひとりだけ下の名前がない坂本あわれ……。この子だけ名前がないのはなにか深い意図があるのでしょうか。