「絶品らーめん魔神亭」(たからしげる)

絶品らーめん魔神亭―森のおくでひっそり営業中 (ドリームスマッシュ!)

絶品らーめん魔神亭―森のおくでひっそり営業中 (ドリームスマッシュ!)

 何でも願いを叶えてくれるランプの魔神アルは、ご主人の伊太郎が「ぼんくらのおろか者」だったために森の奥でひっそりとラーメン屋を開き、いつ来るともしれないご主人を待ち続ける羽目に陥っていました。ランプはやがて11歳の少女奈緒に拾われます。ランプをこすった奈緒はアルに願いを叶えてもらう権利を得ますが、アルの方は伊太郎の願いが失効していないためにラーメン屋から動くことができません。奈緒のランプの所有者としての立場はなんとも不安定なものです。ぼんくらの伊太郎は悪友の坂田と組んでランプを取り戻そうとします。はてさて奈緒はランプの所有権を守れるのかというお話。
 たからしげるの淡々としているようで辛辣なようでとぼけている文体はクセが強くて、好き嫌いがはっきりとわかれると思います。これがはまるとやみつきになるんですよ。物語の方も盛り上がっているんだかないんだかよくわからなくて(ラストも次回に引いているのかどうかよくわからない)、どういうテンションで読んでいいのか悩んでしまいます。しかしとらえどころのないところがたからしげるの不思議な魅力になっています。
 わたしはたからしげるは基本的に短編の人だと思っていますが、この作品は初の長編シリーズになるので、この後どういう風呂敷の広げ方をするのか(あるいはしないのか)非常に気になります。著者のブログによれば2巻は順調にいけば7月頃に出せるそうです。