①世界はおわらない(ジェラルディン・マコックラン)
②海賊の息子(ジェラルディン・マコックラン)
⑤ベラスケスの十字の謎(エリアセル・カンシーノ)
④アマチェム星のセーメ(ロベルト・ピウミーニ)
⑤シルバーチャイルド(クリフ・マクニッシュ)
今年の最大の収穫はなんといってもマコックラン作品が複数翻訳されたことでしょう。特にノアの箱船伝説をモチーフにした「世界はおわらない」の奥深さには圧倒されました。
「ベラスケスの十字の謎」はベラスケスの絵画「侍女たち」の謎をめぐるミステリアスな物語。17世紀のスペイン宮廷の描写が緻密で、分量は短くても重厚な物語世界を味わわせてくれました。
「アマチェム星のセーメ」は宇宙を舞台にした架空旅行記。「シルバーチャイルド」はミュータントと巨大宇宙生物との戦いの記録。どちらも無駄にスケールが大きく、奔放なイマジネーションの世界を楽しませてくれます。
ファンタジー偏重の不細工なランキングになってしまったので、リアリズム系も少し補完しておきましょう。児童虐待をテーマにしたジェイン・レズリー・コンリーの「プラネット・キッドで待ってて」やパレスチナの日常を描いたエリザベス・レアードの「ぼくたちの砦」あたりが印象に残りました。
復刊本なのでランキングに入れませんでしたが、ライナー・チムニクの「レクトロ物語」(福音館文庫)も本年の大きな収穫でした。このほかにも福音館文庫はたくさんの埋もれた名作を発掘しているので、来年も注目したいです。