- 作者: 岸武雄,坪谷令子
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 1988/11/01
- メディア: 新書
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子供の日常の素朴な疑問をうまく導き、問題解決能力を養っていく、教育の理想を描いた作品です。説教臭さはぬぐえませんが、ニワトリが上を向いて水を飲むという小さな発見、女の子が自分の首筋でウサギの赤ちゃんをあたためるエピソードと、子供の興味を引くネタを巧みに取り込んでいて読ませます。
古い作品なので現代の視点で読むとあらがないわけではありません。一年分の餌代をたった二ヶ月で使い切ってしまう教職員の計画性のなさはいくらなんでもありえません。
最後の二ページ、理屈バカのひねくれた男子が穏やかになった理由が家出していた母親が帰ってきたからだと明かしたのは蛇足もいいところです。子供がよくなるもわるくなるも母親のせいとは、それでは今まで賛美してきた学校教育を否定しているも同然です。1912年生まれの岸武雄の限界がこのあたりに現れているのでしょう。