- 作者: うちべけい,創作集団プロミネンス
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 1994/12
- メディア: 単行本
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本田昌子の作品「森にふる雨」は、森の中で会うはずのない人に会うお話です。タイムスリップものとしてはあまりにありふれた展開の話なのですが、そこに物足りなさを感じさせないのが本田昌子のすごさです。森の描写の美しさと語りの叙情性で一級の短編に仕上げています。
「森にふる雨」はアンソロジーのラストに収められており、その前の作品は横田順彌の「きみょうなまちがい電話」というやはりタイムスリップものSFでした。これが電話を利用したひねりのきいたタイムスリップSFだったのですが、「森にふる雨」と違って後味の悪さがいい作品でした。主人公には落ち度はないのに、自業自得のように感じさせてしまういじわるな展開が絶妙です。この二つを並べてアンソロジーのフィナーレとした編者は粋ですな。