「タヌキ御殿の大そうどう 内科・オバケ科ホオズキ医院」(富安陽子)

 「内科・オバケ科ホオズキ医院」の第二弾。第一巻の最後でもらったすずをうっかり鳴らしてしまったため、恭平少年はふたたびオバケの世界に迷い込んでしまいます。恭平はあまりにも人間そっくり(人間なんだから当たり前ですが)だったので、化け術の達人金長ダヌキと間違われ、タヌキの御殿に連れさらわれます。御殿には呪いで縞模様がついた中ダヌキがいました。恭平はそのタヌキを治療するように依頼されますが、できるわけがありません。そのうちに偽物だということがばれ、大ピンチになったところでオバケ科の医師鬼灯京十郎が登場します。
 恭平はすっかり不幸キャラが定着し、オバケをおびき寄せるためのおとりに使われまたもひどい目にあいます。子供をおとりに使う人非人ながら医療の技術は確かな鬼灯京十郎のキャラクターも魅力的です。ばかばかしい騒動を描きつつラストにはきっちり余韻を残してくれるのもうまいです。安定して楽しませてくれるシリーズになりそうです。