- 作者: パティシャーロック,Patti Sherlock,滝沢岩雄
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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読者である子供にとって戦争児童文学を当事者意識を持って読むことは困難です。この作品はその問題をうまくクリアしています。マークは自らの選択によりウルフィーを軍に供出し、主体的に戦争に参加してしまいました。そのためウルフィーの運命に対してマークは責任を持たざるを得ません。こうして主人公の子供に責任を背負わせたことで、読者もわがことのように戦争の物語に入り込めるように工夫されています。
市民が政治の主役であること、思想が違っていても手を取り合うことはできること。よい意味でアメリカ的な価値観を訴えていることにも共感できます。戦争が泥沼化する中、マークがさまざまな人々の助力を得てデモを成功させていく展開は涙なしには読めません。いい本でした。