「だじゃれモン次郎① なぞなぞギャング団」(石崎洋司)

 石崎洋司の低学年向け新シリーズ。石崎洋司村上勉とは意外な組合せですね。子ざるのモン次郎がだじゃれを武器にご町内のトラブルを解決するお話です。難しいことは考えずに頭を空っぽにして楽しめる作品になっています。
 石崎洋司の本を売ろうという意志の強さには目を瞠るものがあります。この作品も「黒魔女さん」と同様に読者参加企画で子供を引きつけようとしています。しかしこの本は青い鳥文庫と違って自分の小遣いで本を買える層を対象にしていませんから、さらに親の財布のひもをゆるめる工夫が求められます。そこでこの本は「家族みんなで楽しむ」ことをコンセプトにしているようです。となると村上勉の起用はむしろ親対策という側面もあるのかもしれません。
 もうひとつ、刊行ペースの早さにも注目されます。二月発売の第一巻ですでに第二巻の三月末の発売が予告されています。同じ講談社の若者向けの本に目を向けると、月刊ペースで書き下ろし作品を刊行する講談社BOX大河ノベルが話題になっています。このようにエンタメ作品の刊行にスピード感が求められる時代の流れに児童書も巻き込まれていくのでしょうか。今後の展開が注目されます。