「かごめかごめかごめがまわる」(高田桂子)

かごめかごめかごめがまわる (あかね創作文学シリーズ)

かごめかごめかごめがまわる (あかね創作文学シリーズ)

 作品世界に漂う怨念、圧倒的な負のエネルギーに眩暈がしてしまいます。
 両親が離婚したために転校した待子は、学校で手荒い歓迎を受けます。クラスの女子たちに目隠しをされかごめかごめの鬼にされ、後ろの正面を答えられないと蹴り飛ばされてしまいます。女子たちの暴行を受けながら、待子は着物を着た座敷ぼっこのような奇妙な少女を幻視しました。ぼっこに鬼をかわるために、待子は少女の正体を探ることにします。
 学校の子供達は女の子の口をガムテープでふさいだ上でトイレットペーパーでぐるぐる巻きにしたり、なわとびのなわで首つりごっこをしたり、猟奇的な遊びに興じています。しかし作者は子供たちのふるまいを異常なこととはせず、むしろ子供の扱いに困って迷走する大人の姿を批判するスタンスをとっているようです。
 ぼっこの生きていた時代の陰惨さには言葉を失ってしまいます。百姓一揆が背景にあり、ぼっこは間引かれたのかかえされたのか女郎に売られたのか、待子はさまざまな予想をしますが、真相のやりきれなさといったら。しかしここまで陰惨な現実を描いていながら、人間に絶望してはいません。鬼になるとはどういうことか、人は鬼になれるのかという問いかけが重いです。
 現役小学生が読んだらトラウマになることうけあいの力作です。