「出さなかったラブレター 初恋コレクション10」(岡信子・木暮正夫・編)

出さなかったラブレター (初恋コレクション)

出さなかったラブレター (初恋コレクション)

 初恋コレクション第二期最終巻。令丈ヒロ子の「花の命は短くて」がどうかしていて面白かったです。
 カコは隣家のバラの花の前に佇んでいるものすごい美少年を発見します。ところがどうもその美少年はカコにしか見えていないらしい。翌日見たとき、美少年は美青年に変身していました。そこでカコのおばあちゃんは、カコがバラの花に化かされていることに気付き、もうすぐ終わるから気を確かに持つように諭します。さらにしばらくすると美青年は男前のおっちゃんになり、やがて消え去ってしまいます。おばあちゃんが「花の命は短いからな、男前でおられんようになったから、散って消えたんやろ」とまとめ、物語は終了します。
 令丈ヒロ子、ベタな少女小説はいくらでも書ける力を持っているのに、あえてこういう奇妙な話を出してきますか。やはり彼女は侮れません。