「超人騎士団リーパーズ」(平井和正)

 ヨコジュンら6人の中学生は宇宙人の気まぐれで超能力を与えられます。彼らはせっかくの超能力を人類のために有効活用しようと超人騎士団を結成。しかし計画は理想どおりには進まず、資金集めのためにプロレスラーとして活躍しはじめた鏡明が増長し内輪もめが起きたり、強力な軍事力を持とうとするメンバーが現れたり、資本主義を支配している国際秘密組織にあっさりまるめこまれたり、超人になったはずのヨコジュンは全くの役立たずでうろうろしているうちにいつの間にか性転換してしまったり、しっちゃかめっちゃかなストーリーが展開されます。
 なつかしい「超革命的中学生集団」の青い鳥文庫fシリーズでのリライト版です。「超革命的中学生集団」は一説ではライトノベルの起源とも言われている作品で、1970年に旺文社の「中一時代」に連載されていました。掲載紙が受験雑誌だったので、おかたい筋から抗議の嵐が巻き起こったという伝説が残っています。
 少年らしい理想が現実の壁の前に砕けちるさまを毒をたっぷり混入して描いています。当時の中学生にすればなかなかスリリングな読書体験になったのではないでしょうか。しかしそれはそれとして、SFファンからみれば、ヨコジュンが性転換したり、鏡明がプロレスラーとして暴れまわったりするだけで笑えてしまいます。