「わたしの、好きな人」(八束澄子)

わたしの、好きな人

わたしの、好きな人

 第44回野間児童文芸賞受賞作。ご冗談でしょう。講談社の本だけ見たとしてもこれより評価されるべき作品はいくらでもあります。
 12歳の少女さやかが父親の経営している小さな工場で住み込みで働いている壮年の男性杉田に淡い恋心を抱くお話。父親が脳梗塞で倒れたり兄が家出をしたりと家庭の危機を迎えますが、さやかは杉田に支えられてなんとか乗り越えていきます。やがて杉田の隠された過去が明らかになって……。
 前世紀のセンスのクサい三文芝居です。感動がないわけではないが薄っぺらい。賞をとるレベルに達しているとは思えません。