「歩く」(ルイス・サッカー)

歩く

歩く

 まず翻訳に対する不満点から。幸田敦子版では「脇の下」「X線」と訳されていた登場人物のニックネームが、こちらでは「アームピット」「X・レイ」と発音をカタカナ変換しただけになっています。これではニックネームの持つニュアンスが伝わってきません。なぜわざわざ変更したのか意図がわかりません。
 「穴」の番外編。グリーン・レイク・キャンプの仲間だった脇の下が主役の物語です。反省して真人間になろうとがんばっていた脇の下でしたが、キャンプの仲間X線の口車に乗せられてダフ屋の片棒をかつがされ、トラブルに巻き込まれることになります。
 「穴」はあざといながらも感動させられましたが、さすがに同じようなのを二度やられると食傷してしまいます。人種差別ネタに障害者ネタと反則技をふたつも使って、おまけにメインのストーリーが偶然芸能人と仲良くなるという罪のないものでは、笑えるものも笑えません。