「少女海賊ユーリ1 なぞの時光石」(みおちづる)

少女海賊ユーリ なぞの時光石 (フォア文庫)

少女海賊ユーリ なぞの時光石 (フォア文庫)

 デビュー作「ナシスの塔の物語」で新人離れした手堅さをみせたみおちづるが第二作でこうきますか。リアルタイムで追っていた人はさぞ腰を抜かしたことでしょう。なんで自分は完結編が出た今頃第一巻から読み始めているのか。
 中世を舞台に、正義の味方の少女海賊が人助けをする話なのかと思いきや、104ページで突然「人工頭脳」なんて言葉が出てきて、物語はSFになってしまいます。
 少女海賊ユーリは実は千年後の未来からやってきた未来人でした。彼女は未来世界で「時間をのばしたりちぢめたりできる」時光石を発明しましたが、その石は爆発を起こし世界の半分をふきとばしてしまいました。その事故のせいで彼女自身も過去の世界にとばされてしまいます。ユーリは海賊に身をやつして人助けをしながら、自らが生み出してしまった時光石を葬る方法を模索していました。
 「ナシスの塔」から引き継いだテクノロジーとそれを使う人間の問題をどう処理するのかが大きな課題になってくるはずです。決着がどのようにつけられるのか注目されます。