- 作者: 宮下恵茉,山口みねやす
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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最大の見所はやはり人間が描けている点でしょう。何気ない日常の場面で小学生なりの誠実さ、薄情さがリアルに描かれており、しみじみとした感動が胸に迫ってきます。
ややネタバレになってしまいますが、もうひとつ注目すべきところはDVの扱いです。この物語ではDVの解決を冷静にしかるべき機関にゆだねています。安いドラマだと情でなんとかしようとしたがるところですが、それは現実的ではありません。こういう問題は情を介在させると泥沼にはまるだけです。ですからこの作品でのDVへの対応は非常に正しいものだといえます。
第15回小川未明文学賞受賞作です。ユーモアをまじえつつ骨太の人物描写を実現している大変読み応えのある作品でした。