「ポータブル・ゴースト」(マーガレット・マーヒー)

ポータブル・ゴースト

ポータブル・ゴースト

 主人公のディッタはいつも学校の図書館の隅にいる少年ヒリーが幽霊であったことを知り、彼と仲良くなります。そのころディッタの友達のマックスも自宅のパソコンにとりついた幽霊に悩まされていました。ディッタやヒリーは、マックスを助けるために幽霊の正体を探ることを決意します。
 「ポータブル・ゴースト(持ち運びできる幽霊)」が存在する異常状況下での謎解き小説です。特殊なルールのもとで実に論理的に緻密に物語が展開されます。ディッタの妹ミラベルがパソコンにとりついた幽霊をいとも簡単に黙らせる場面では、読者はあっけにとられること請け合いです。そしてぬけぬけと物語ることを賛美した上で、最後は子供達にうまく自由研究を手抜きさせて落とす。緩急を自在に使い分けて愉快な物語を紡ぎ上げています。これぞベテランの技です。