- 作者: みおちづる,永盛綾子
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 2004/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
今回は戦争がもたらす憎しみの問題に正面から向き合っています。憎しみにとらわれて自分を見失しなってしまったセディに対し、ガラス細工の師ゲルトが語りかけた言葉が印象に残りました。
「わしは、もう二度と剣はにぎらない。剣は、にくしみをうむだけだ。セディ、わしらは、ガラス職人だ。わしらのたたかい方は剣じゃない。この手が作りだすガラス細工なんだ。わしらは、みにくいものに、美しいものでたたかうのだ。」
「でも……でも、ガラス細工は、すぐにこわれます!」
「そうとも、だが、いいか、セディ、百個のガラス細工がこわされたなら、わしらは百一個、作ればいい。どれだけこわされても、ガラス細工を作るのをやめてはいけないんだ。そのうちのたった一個の美しさが、だれかの心にのこるかもしれないじゃないか。そうしたら、世界にみにくいできごとが、ひとつ、へるかもしれないじゃないか。」(p139、140)
まじめな話はさておき、この巻の一番の見所はノエルがセディを好きになったと勘違いしたレニーがもだえ苦しむところです。このふたりはほほえましすぎて見てられないですね。