「ハーメルンの笛吹きを追え! 」(ビル・リチャードソン)

ハーメルンの笛吹きを追え!

ハーメルンの笛吹きを追え!

 耳が聞こえなかったためにハーメルンの災厄を逃れた11歳の少女ペネロピーが、笛吹きを追って夢の世界で冒険を繰り広げるお話です。
 語り手は冒険から90年後の101歳のペネロピーです。その後の主人公が語り手になると、少なくとも主人公は死ぬほどの目には遭わなだろうといということが分かってしまい、緊張感がそがれてしまうことがあります。しかしこの場合、101歳のペネロピーにはもっと深刻な避けようのない事態が迫っているので、異様な緊張感が保たれています。
 夢の世界での冒険はでぶ猫をはじめとするユニークな仲間たちに彩られ、浮遊感を持った楽しさがありました。特にドラゴンと縄跳びで勝負するという着想がすごかったです。独特の味わいのある魅力的なファンタジーでした。