「まひるの怪奇モノがたり 1」(池田美代子)

 2001年刊行の「占い魔女は消えた」の改題文庫版です。イラストが佐竹美保になりだいぶ雰囲気が変わりました。彼女は闇を描くのが達者なので、序盤の子供達が竹藪に入っていく場面で物語世界にすっかり引き込まれてしまいます。
 竹藪の中の万年竹屋敷に住む「くだんばあ」は、占い師として子供たちの噂の的になっていました。ある日三人の子供がくだんばあの不在時に屋敷に忍び込み、怪しい通信販売のファックスを見つけました。ふざけて「願望成就鉛筆」なるものを注文したところ、本当に効果のある代物が送られてきました。ここから子供たちは不思議な事件に巻き込まれていくことになります。
 現時点で発表されている作品を見ると、他人との差異が池田美代子の抱える大きなテーマになっているようです。端的にいえば自分が変人であることによる劣等感。デビュー作である本作ではそれがまったくオブラートに包まれていないかたちで表出されています。孤独な戦闘美少女が主役の「妖界ナビ・ルナ」シリーズでもこの問題はつきまとっています。さて、これが「ナビ・ルナ2」でどう発展していくのか。それを見定めていけば池田美代子をどう評価すべきなのかが見えてくると思います。