「ねこまた妖怪伝2」(藤野恵美)

ねこまた妖怪伝2

ねこまた妖怪伝2

 藤野恵美のデビュー作「ねこまた妖怪伝」の第2巻。まさか続編が出るとは予想していませんでした。岩崎書店もやっとジュニア冒険小説大賞受賞者のアフターフォローを怠っていたことを反省したようです。
 ねこまたのミィは妖怪ハンターにとらわれていたオオカミの妖怪キバと知り合います。実は妖魔大帝の子供であったキバは妖怪ハンターの屋敷から脱走し、人間に復讐するために父親探しの旅を始めました。ミィはキバの意見には賛同できませんでしたが、彼の旅に同行することになります。
 キバや妖怪ハンターが想像していた妖魔大帝と現実の妖魔大帝の乖離には驚かされるはずです。政治の指導者が敵側味方側問わず民衆によって無責任に偶像化されるさまが浮き彫りにされています。いつものことながら藤野恵美は難しいテーマに果敢に挑戦してくれます。