- 作者: 後藤みわこ
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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後藤みわこのギャグセンスが冴えわたっています。まずはキャラクターの濃さに注目すべきでしょう。一番印象的なのは助手役の知世で、完全に探偵役を食っています。病弱な弟の食べ物を強奪したり、40という数字がみたいというだけの純粋な動機から弟の体温計が40度になるのを心の底から楽しみにしたり、ひどい言動をみせます。ただし、言動だけをみると人でなしですが、(食べ物のことしか考えていないから)本人にはまったく悪気はないので不思議と憎めません。この姉と常に被害者になってしまう弟と時折手厳しいツッコミを入れる地の文のトリオ漫才は傑作です。
ミステリとしての遊びも多い作品です。子供たちがテレビや本で中途半端にミステリのパターンを知っているので、それをふまえた上で予想の斜め上を行く展開をみせてくれます。バレンタインチョコ消失事件では、クラス全員共犯説のでたらめ推理が披露された後に、まさかの○○犯人という驚愕の真相が用意されていました。
ギャグ一点突破では今年一番の収穫かもしれません。ぜひこのテンションを保ったまま続編を書いてもらいたいです。