「キューピッドの涙盗難事件」(真瀬もと)

  理論社ミステリーYAでベイカー・ストリート・イレギュラーズを主役とする新シリーズが開幕しました。現時点で5巻までの仮タイトルが発表されているので、ずいぶん長いシリーズになりそうです。
 作者の真瀬もとは「シャーロキアン・クロニクル」というやはりホームズものの作品でデビューしており、相当なシャーロキアンのようです。わたしにはそっちの属性はないので、作者の仕掛けた遊びはほとんど理解できていないでしょうが、それでもヴィクトリア朝の猥雑な空気は楽しめました。
 事件の背後にはホームズの最大のライバルであるモリアーティ教授やアイルランド問題が不気味な影をちらつかせていました。シリーズは壮大な背景を抱えていそうです。