「びっくり そっくり しゃっくり ようかん」(廣田衣世)

びっくり そっくり しゃっくり ようかん

びっくり そっくり しゃっくり ようかん

 老舗の和菓子屋の息子太一と校長先生が、新作の栗ようかんが原因で入れ替わってしまいます。元に戻るには、入れ替わってからずっと続いているしゃっくりを止めならないとのこと。はたしてふたりは元に戻れるのか……というお話です。
 入れ替わりものとしては普通の出来。太一の職員会議での放言が現実になり、時間割が自由になり給食が豪華になるというあたりはおもしろかったです。
 ただし、ただの願望充足に終わってしまい、広げるべきところが投げっぱなしになっている印象を受けました。なんで学校が一夜にして変われたのかなどを詳しく検証すればもっとおもしろくなったはずです。
 なぜしゃっくりを止めれば元に戻れるかといったあたりの説明もいっさいなく、読者が疑問に思うであろう箇所に対するフォローが欠けています。