「曲芸師ハリドン」(ヤコブ・ヴェゲリウス)

曲芸師ハリドン

曲芸師ハリドン

 スウェーデンの港町が舞台。主人公の曲芸師ハリドンは外見が醜く、人々からさげすまれていました。でもたったひとりだけ心を許せる友人がいました。ハリドンの同居人〈船長〉です。ところがある晩、〈船長〉がなかなか帰宅せずハリドンは不安にさいなまれます。とうとうハリドンは家を飛び出し、〈船長〉の姿を求めて夜の町をさまようことになります。
 これは実際に読んで味わうしかないタイプの作品ですから、多くを語る必要はないでしょう。たった一夜の彷徨で孤独と人生の悲哀と一筋の光明を見事に描ききっている傑作です。