「アリスの服が着たい ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生」(坂井妙子)

アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

 「子供の発見」が17世紀以降であるとするなら、それ以前には子供服は存在しなかったはず。そんな論理展開から西洋における子供服の誕生について論考している本です。
 序章で坂井妙子は子供服の歴史は「キャラクター子供服の歴史」であったと断言します。キャラクター子供服というと戦隊ヒーローや仮面ライダーなんかがプリントされているような服を想像してしまいましたが、もちろんそうではありません。彼女はキャラクター子供服を「児童文学作品や絵本の人気登場人物の服装が商品化され、実際に着用可能な、子供のための服」だと定義しました。実際に「不思議の国のアリス」や「小公子」をモデルにした服が流行していた時期があったそうです。
 子供服を通して当時の人々が抱いていた欲望が浮かび上がってくるのが興味深かったです。