「花になった子どもたち」(ジャネット・テーラー・ライル)

花になった子どもたち (世界傑作童話シリーズ)

花になった子どもたち (世界傑作童話シリーズ)

 夏休みに年老いたおばさんの家に預けられることになった姉妹の物語です。姉のオリヴィアはおばさんの家で一冊の本を見つけます。その本の作者は昔おばさんの家で暮らしていたことがありました。そこには妖精の魔法で子供が花にされてしまう物語が綴られていました。魔法を解くには庭に隠された青い陶器のティーカップとポットを見つけなければなりません。これはただのフィクションのはずだったのですが、まるで物語と呼応するように現実のおばさんの庭からティーカップが発見されました。妹のネリーはこのことに異常な関心を持ち、ティーカップ探しを始めます。
 上品で美しい物語です。
 妹の気合いの入ったわがままっぷりが気持ちいいです。彼女には「頭に金色の文字できざみこまれた大切な決まり」があり、それが破られると豪快に癇癪を起こします。たとえば服を着るときは必ず下から順番に着ていく、階段は後ろ向きに上がるなど。この決まりがおばさんによって破られやしないかとおそれて姉が常にびくびくしているのも病的でおもしろいです。