「ぼく、カギをのんじゃった!」(ジャック・ギャントス)

ぼく、カギをのんじゃった!―もう、ジョーイったら!〈1〉 (もう、ジョーイったら! 1)

ぼく、カギをのんじゃった!―もう、ジョーイったら!〈1〉 (もう、ジョーイったら! 1)

 元気いっぱいのアメリカの小学生ジョーイの物語です。やむにやまれぬ衝動からカギを飲み込んでしまったり、うっかりクラスメイトの鼻をハサミですぱっと切ってしまったり、彼の学校生活は過激ににぎやかです。
作中では明言されていませんが、おそらくジョーイはADHDと診断されるタイプの子供なのでしょう。以前はただのやっかいものとしか見られていなかったこうした子供は、ADHDなる診断名ができて以降は支援を必要とする困難を抱えた子供として扱われるようになりました。ADHDなる概念の是非についてはいろいろ論争がありますが、この変化は歓迎すべきだと思います。
 そうした状況の中でこういう児童文学作品が生まれたのは必然だといえましょう。彼の言動は周囲からは突拍子ないものにしか見えません。ですが、物語はジョーイの視点から語られるので、彼には彼なりの必然性があるのだということが理解できます。