- 作者: 菅野雪虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/15
- メディア: 単行本
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天山の巫女として世間から隔絶されて育ったソニンは、知識以外寄って立つものを持ちません。そんな彼女だからこそ、誰からも顧みられることのない少数民族や隠蔽された歴史に思いを馳せることができます。裏を返せば、寄って立つものを持っている人間は目が曇って見なければならないものが見えなくなってしまうことになります。
ただしこの物語には希望がありました。それは「狼殺しの王」の娘でありながらなかったことにされるもろもろを忘れないことを誓ったイェラ王女の存在です。沙維・江南・巨山の三国の情勢がますますきな臭くなっていくなかで彼女がどんな役割を果たしていくのか、今後が注目されます。