「あさきゆめみし5」(大和和紀/原作 時海結以/文)

源氏物語 あさきゆめみし(5) (講談社青い鳥文庫)

源氏物語 あさきゆめみし(5) (講談社青い鳥文庫)

 時海結以による「あさきゆめみし」ノヴェライズが光源氏を最期をもって全5巻で完結しました。今後10年くらいは「源氏物語」の入門本はこれがスタンダードになるでしょう。すばらしい仕上がりでした。
 悪行の限りを尽くした光源氏も女三の宮に裏切られ、紫の上にも見捨てられ、寂しい晩年を迎えます。いい気味だという個人的感想はおいといて、栄枯盛衰、人の世の無常をしっとりと描き上げた時海結以の筆力には嘆息させられました。
 「あさきゆめみし」が完結したところで、時海結以には次はぜひ本格的な長編ファンタジーを書いてもらいたいです。児童文学界での実績はまだあまりありませんが、ライトノベルの実績をあわせて考えれば上橋荻原に続くくらいの実力はあると思われます。