「砂田弘評論集成」(砂田弘)

砂田弘評論集成 (てらいんくの評論)

砂田弘評論集成 (てらいんくの評論)

 本書183ページに収録されている坪田譲治全集の月報用のエッセイによると、砂田弘が児童文学の世界に入ったのは早稲田大学に入学した1952年に早大童話会のポスターを見て興味を持ったのがきっかけだったそうです。当時の早大童話会の顧問は小川未明坪田譲治秋田雨雀の三人。先輩には鳥越信、神宮輝夫、古田足日山中恒らがいました。今見ると本当にわけがわからなくなるほど豪華なメンバーです。ここを起点として創作、評論の両面で大きな成果を残し、日本児童文学者協会の会長まで務め上げた砂田弘は、まさに戦後児童文学の歩みとともに生きてきた人物だといえるでしょう。そんな彼の評論を一望できる本書を読めば、戦後児童文学の歴史を追体験することが出来ます。児童文学に興味を持つ人なら必読の一冊です。