「世界で一番のねこ」(藤野恵美)

世界で一番のねこ

世界で一番のねこ

 毛並みが美しく、コンテストで一等賞に選ばれたこともある猫エトワールは、皮膚病にかかってみすぼらしい姿になってしまったため主人に捨てられてしまいます。途方に暮れていたエトワールを拾ってくれたのはバイオリン職人のおじいさんでした。おじいさんはエトワールにねずみをとるように頼みます。いままでそんなことをしたことがなかったエトワールは最初は戸惑いますが、努力を重ねて次第にねずみとりの腕を上達させていき、やがてねずみとりのコンテストに出場することになります。
 コンテストの一等賞がもらうものからとるものに変わったことが、エトワールの変化を象徴しています。短い作品ですが、気高い生き方とはどういうものかを説得力を持って伝えてくれる力作でした。