昨年に比べると読書量が大幅に落ちてしまいましたが、思いつくままに今年の総括を書いてみます。取りこぼしが多いと思いますので、これだけは読んでおけというのがありましたらご教示いただけるとうれしいです。
ファンタジー
ファンタジーでは、なんといっても小森香折の「十三月城へ エゼル記」が飛び抜けていました。若者が暴君を倒すという単純なストーリーながら、あらゆるファンタジーの楽しみが詰め込まれている贅沢な逸品です。感想はこちら。
シリーズものでは「天山の巫女ソニン」が、いい具合に盛り上がってきました。
- 作者: 小森香折,エクリ,スズキコージ
- 出版社/メーカー: エクリ
- 発売日: 2008/08/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 菅野雪虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/27
- メディア: 単行本
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SF
このブログでは毎度毎度児童文学界のSF氷河期を嘆いていますが、今年も児童書棚にめぼしいSFが並ぶことはありませんでした。しかし小学生が読むのにいいSFが出ていないわけではありません。では、小学生向けの良質なSFはどこにあるのかというと、児童書棚ではなくノベルス棚にあるのです。たとえば岩本隆雄(祝!再再デビュー)の「夏休みは、銀河!」や、「電脳コイル」のノヴェライズなどです。児童書の出版社がこのあたりに目配りできれば状況は変わると思うのですが……。
- 作者: 岩本隆雄,間宮彩智
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/10/21
- メディア: 新書
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- 作者: 宮村優子,磯光雄
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/12
- メディア: 新書
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ホラー
今年最高に怖かったのは、ひろのみずえの「瓜ふたつ」です。ドッベルゲンガーを素材として、気持ち悪く不条理に日常を破壊してくれました。
- 作者: ひろのみずえ
- 出版社/メーカー: 大日本図書
- 発売日: 2008/07
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歴史もの
疫病がはびこる平安京を舞台にした久保田香里の「氷石」や、葛飾北斎とゴッホの亡霊の邂逅を描いた甲田天の「時の扉をくぐり」など、地味ながら読み応えのある作品が出ていました。感想はこちらとこちら。
- 作者: 久保田香里,飯野和好
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2008/01/01
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- 作者: 甲田天,太田大八
- 出版社/メーカー: BL出版
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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リアリズム
梨屋アリエの連作短編集「夏の階段」が抜きん出ていました。梨屋アリエは思春期の痛々しさを巧みに描く作家ですが、この短編集でもその実力がいかんなく発揮されています。感想はこちら。
やや低学年向けでは村中李衣の「はんぶんペペちゃん」が印象に残りました。父と娘のすれ違いという普遍的なテーマをしっとりと描き出した完成度の高い作品でした。
- 作者: 梨屋アリエ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2008/03
- メディア: 単行本
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- 作者: 村中李衣,ささめやゆき
- 出版社/メーカー: 佼成出版社
- 発売日: 2008/09/01
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ノンフィクション
「よりみちパン!セ」シリーズから出た西原理恵子の「この世でいちばん大事な「カネ」の話」は必読です。カネというみもふたもない切り口から人間の真実をえぐり出すこの本は、人生の教科書といっても過言ではありません。
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2008/12/11
- メディア: 単行本
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