その他今月読んだ児童書

福音館書店「ボクラノSF」第二回配本です。「夜が明けたら」「お召し」「すぺるむ・さぴえんすの冒険」 「牛の首」「お糸」「結晶星団」の6作が収録されています。 「すぺるむ・さぴえんすの冒険」や「結晶星団」で見られる宇宙的スケールの思索は何度読んでも圧巻です。第三回配本は北野勇作の書き下ろしだそうです。こちらも待ち遠しくて仕方ありません。
霧の森となぞの声 (こそあどの森の物語)

霧の森となぞの声 (こそあどの森の物語)

岡田淳の「こそあどの森」が10巻の大台に突入。森から聞こえる不思議な歌声に誘われてスキッパーが迷子になり、それについてきたふたごもも迷子になり、子供たちを探して大人たちも続いてしまい、そして誰もいなくなったというお話。こそあどの森の住人はあっちの世界に引き込まれやすくて困ったものです。リアルタイムで追っていたのは2巻まででした。いい加減たまってきたのでまとめ読みしています。とりあえず今月は3巻から6巻まで。友達がひとりもいないと平然と言い放てるダメ人間な主人公がすばらしいです。ストーリーの方もいきあたりばったりに好き放題やっているようで、実は緻密に計算されています。読者の意見を取り入れながら他のシリーズも抱えつつ、このレベルのエンターテインメントを年3ペースで量産できるのはすごいと思います。
コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状 (ピュアフル文庫 む 1-2)

コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状 (ピュアフル文庫 む 1-2)

「コンビニたそがれ堂」第二弾。全力投球の美談です。たとえば第二話は「人魚姫」というダークなものしか連想させないタイトルでしかも出てくる魔法が死者蘇生です。死者蘇生の魔法といえば「猿の手」のようなひどい話がまず思い浮かびますが、村山早紀はこれを美談に仕立て上げてしまいます。この技術力には感服するしかありません。
クローバー

クローバー

図書館の本に異物をはさむのはよくないよね。
マルベリーボーイズ

マルベリーボーイズ

19世紀末、わずか9歳の少年がイタリアからアメリカに密航する話です。おとぎ話のパロディでないドナ・ジョーナポリ作品が日本に紹介されるのは、おそらくこれが初めてです。読者の感情を揺さぶるストーリーテリングはさすがナポリ。濃密で読み応えのある作品でした。