「お父さんが教える読書感想文の書きかた」(赤木かん子)

お父さんが教える読書感想文の書きかた

お父さんが教える読書感想文の書きかた

毎度思うことですが、赤木かん子ほど子供の立場に寄り添って子供に向き合っている人はなかなかいないでしょう。「読書感想文の書きかた」と題されたこの本で、赤木かん子はコンクールに入賞するような高度な技術のレクチャーは最初から放棄しています。彼女が目指すのは原稿用紙が必要枚数埋められて、そこそこ読めるレベルの感想文です。これは子供の立場に立てば当然の判断です。コンクールを目指せるような児童はクラスにたった3,4人程度。大多数の子供はまともに教員から書き方を指導されることもなく、原稿用紙のマス目を埋めることだけで精一杯なのです。大多数の子供が切実に必要としているのはこういった基礎レベルのレクチャー本です。はじめからコンクールを狙うような高度な感想文を要求されては、ますます感想文が嫌いになってしまうだけでしょう。
手順を踏んで書き進められるようにレクチャーされているので、これを読めば大人の手助けなしにそこそこの感想文は書けるようになっています。さらに、「丁寧」な字の書き方なんかまでレクチャーされていて、かゆいところに手が届くようになっています。大人は深い考えなしに「丁寧」に字を書けなんていいますが、子供からすれば意味不明です。赤木かん子は「丁寧」という意味不明な言葉を実にわかりやすい言葉に言い換えています。赤木かん子には勉強の苦手な子が躓くポイントが的確に見えています。