その他今月読んだ児童書

アンモナイトの森で―少女チヨとヒグマの物語 (ティーンズ文学館)

アンモナイトの森で―少女チヨとヒグマの物語 (ティーンズ文学館)

第18回小川未明文学賞大賞受賞作。明治時代、北海道に住む野生児のような少女がヒグマがうろついていて人の入り込めない森でアンモナイトの化石を発見したことから、札幌農学校の研究者が森に入り込むようになる話。
主人公の少女は民話の世界に生きているような野生児です。そんな彼女と近代を体現する大学を対峙させることで不思議と美しい物語世界をつくりあげています。しかし、作品世界に近代を導入するのであれば、あの結末には疑問を抱かざるを得ません。
帰天城の謎 ~TRICK 青春版~

帰天城の謎 ~TRICK 青春版~

はやみねかおるによるTRICKの番外編。中学生時代の山田の活躍が描かれています。
原作の空気が忠実に再現されていて、文章を読むだけでドラマの演出や役者の表情が容易に脳内に浮かび上がってきます。それでいてはやみね色もきちんと主張しています。原作ファンにもはやみねファンにもおすすめできます。
赤い髪のミウ

赤い髪のミウ

沖縄の離島にある、いろいろな困難を抱えた子供を受け入れる留学センターの話。子供の荒れ方や、大変な子供に全力でぶつかっていこうとする大人の必死さの描写は真に迫っていました。それだけに、人質を取って選択肢を奪ってから説教するという終盤の展開は、あまり上品には見えませんでした。