『眠り姫とバンパイア』(我孫子武丸)

眠り姫とバンパイア (ミステリーランド)

眠り姫とバンパイア (ミステリーランド)

ミステリーランド第17回配本。離れて生活している父親がバンパイアになったと信じている少女の家庭教師になった青年が、父親の謎を探る話です。
父親が消失するエピソードを入れてミステリ的な興味も惹きつけていますが、最終的には家族の問題を扱った児童文学として落とし込んでいます。
この消失トリックは、実はミステリの世界では使い古されているものです。しかしこの作品では、家庭の悲劇を演出する要素としてうまく機能しています。他ジャンルの手法を効果的に児童文学に取り込んだ成功例といえます。
適度に狂っている挿絵もいい感じです。