『ブラック・ダイヤモンド2 』(令丈ヒロ子)

ブラック・ダイヤモンド2 (フォア文庫 C242)

ブラック・ダイヤモンド2 (フォア文庫 C242)

大人の事情で刊行が遅れていた『ブラック・ダイヤモンド』の2巻が、版元を岩崎書店に移して刊行されました。今回は、児童会長のイケメン陽坂くんが灯花理のことを好きなのではないかという噂が流れたことから、厄介事が起こります。
読者からすれば、今回もいろいろ怪しげなふるまいにおよんだ美影は真っ黒にみえます。灯花理の方もうすうす美影を怪しいとは思っていますが、それでもやはり大好きな美影を信じたいという思いも強く持っています。つまり灯花理は、読者の同化を拒んでいる主人公であるということになります。そのため読者は、疑心暗鬼の嵐が渦巻く物語世界を複雑な位置から眺めることになります。
今のところ一番信用できそうな人物は、クラスで浮いている須藤さんです。彼女は空気が読めない(読まない?)人間ですが、それゆえに人間関係を分析的に整理することができます。しかし、物事の真偽を見極める力までは持っていないので、ことの真相にまでは迫れません。
物語がどういう方向に進むのか、まだまだ先は読めません。続きが楽しみです。