その他今月読んだ児童書

トラゴロウ失踪す―童話作家・小沢正の年譜を読む

トラゴロウ失踪す―童話作家・小沢正の年譜を読む

自筆年譜から存在を抹消された妻、杉山惠子による小沢正の評伝です。小沢正の生の声を元にした作品評とともに、早大童話会での出会いから死別までの確執も語られています。これから小沢正を語る際に必ず参照しなければならない貴重な資料になるでしょう。
中国のピノッキオ

中国のピノッキオ

『それからのピノッキオ』の続編。自分と仙女さまのルーツを探すために中国に行ったはずのピノッキオでしたが、別の人物の人捜しを引き受けてしまい、本来の目的が忘れ去られて自由奔放に話が飛んでいきます。悪の組織の影がちらつきはじめ、シリーズはさらに盛り上がりを見せそうです。
ゆうれい猫ふくこさん (おはなしガーデン28)

ゆうれい猫ふくこさん (おはなしガーデン28)

ご町内でかわいがられていた猫のふくこさんが、死後も町の平和を守るために奮闘する話。やや低学年向けの作品ですが、廣嶋玲子らしい不穏さの片鱗はみえます。
ハリィにおまかせ!-天才少年鍼灸師・ハリィ登場!- (講談社青い鳥文庫)

ハリィにおまかせ!-天才少年鍼灸師・ハリィ登場!- (講談社青い鳥文庫)

鍼灸師の少年を主人公とし、医者の子供をライバル役に設定することで、近代医学は患者の症状しかみない血の通わない医療であり、代替医療こそが患者を総合的にみる素晴らしい医療であるという偏ったイメージを植え付けようとしています。著者は鍼灸師の資格を持っている人物だそうですが、こういったアンフェアな書き方をしているようでは、代替医療は信頼を得られないでしょう。