人気のひみつ、魅力のありか―21世紀こども文学論 (日本児童文化史叢書)
- 作者: 藤本英二
- 出版社/メーカー: 久山社
- 発売日: 2011/12
- メディア: 単行本
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もっとも注目すべきなのは、俗悪の一言で片付けられることの多い「ゾロリ」を詳細に分析した第一章でしょう。シリーズには子供の好奇心を刺激する「知的な遊び心」が仕掛けられており、その代表が「オヤジギャグ」であるという指摘がユニークです。
第二章のバッテリー論では、編集者の証言と佐藤真紀子のイラストの変化を手がかりにシリーズが「物語」から「小説」に変貌していく様子を論考しています。
また、『DIVE!!』の女性の描き方のうまさと比較して、『バッテリー』がダメダメであることを批判しているのも興味深いです。「女が描けているか」という問題は、以前は男性作家同士で無根拠に言い合っているどうでもいい話題でしたが、今は女性作家の「女の描けなさ」が問題にされる時代に変化したようです。