その他今月読んだ児童書

ネコ・ムスビも10巻の大台に突入。おまけページの巫女団の紹介文が、優しい語り口なだけにむごいです。「きっと、将来、どんな仕事に就いたとしても有能な女性になったはずです」とか。あらためて池田美代子は鬼だと思いました。一方ルナの方は、残り寿命がもうわずかなので、精神攻撃を主体に攻めてきています。あらためて池田美代子は(以下同文)。
ラストではついにあの人が登場。ナビ・ルナもネコ・ムスビもクライマックスに向けて盛り上がってきており、目が離せなくなっています。古城ホテル4巻。女主人たちの過去話が終わったので、シリーズはとりあえず一区切りになるようです。子供からの収奪を直截的に肉体的収奪として描いているという点で得難いシリーズでした。まだ続くのであれば、古城ホテルの中継ステーションとしての側面を掘り下げてもらいたいです。
わからん薬学事始1

わからん薬学事始1

代々島で秘薬を作ってきた家系の少年が、都会に出て薬学を学ぶ話です。1巻の時点では近代科学を否定してオカルト医療を礼賛する内容になりそうで不安が持たれます。使用者によって効果に大幅にばらつきのある秘薬を、二重盲検をすることもなく偽薬ではないと断定しているのが理解しがたいです。未知の物質が絡んでいることが根拠とされていますが、それは偽薬であるかどうかとは無関係の話です。偽薬についてSF的な解釈をしたいのだとしたらそれはかまいませんが、そのための論理的手続きを怠っては、YA向けの作品として不誠実です。はやみねかおるセカイ系ラノベ第2弾。モナミの残念さが加速しています。
完訳 オズのリンキティンク 《オズの魔法使いシリーズ10》

完訳 オズのリンキティンク 《オズの魔法使いシリーズ10》

復刊ドットコムのオズ10巻。
カントリー・ロード

カントリー・ロード

第14回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作。ちゅうでんの選考委員に選ばれるだけあって、文章には品がありわかりやすく、また、叙情性も優れています。ただしストーリーはというと、都会の少年が田舎の中学校に転校してきて逆セリエA状態でいい目にあうというもの。著者にその意図はないでしょうが、田舎を蔑視していると受け取られかねない内容になっていました。
狛犬の佐助 迷子の巻 (ノベルズ・エクスプレス)

狛犬の佐助 迷子の巻 (ノベルズ・エクスプレス)

伊藤遊初のシリーズものの第1巻。狛犬を掘った石工の魂が狛犬に宿って現代の人間を見守るという内容です。狛犬というより地縛霊の話になっており、こういった設定でいま、神霊のようなものをどう語ってくのか、先が注目されます。
アリブランディを探して (STAMP BOOKS)

アリブランディを探して (STAMP BOOKS)

岩波書店の翻訳YA叢書「STAMP BOOKS」の1冊、イタリア系オーストラリア人の少女の物語です。家庭環境が複雑すぎて頭がくらくらします。