自分のわがままを通すために母親の取扱説明書をつくろうというひどい出発点から、実はそれが人間への洞察を深めることにつながるのだという倫理的な地点に着地する、手堅い作品です。
『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を幼児にみせてしまう家庭環境がおそろしいです。
外界との行き来ができない深い谷の底の罪人の村に住む少女が、竜に連れられて外の世界の王宮に行き、呪いで袋にされてしまった勇者と冒険する話。設定がこっていておもしろそうなのですが、設定説明に忙しくほとんど物語になっていないのが難点です。それでも読ませてしまうのが手練れの技か。
栗本薫の未発表童話。出版を意図せず、息子のために語った話だそうです。死ぬのは怖くないよと説く内容なのですが、それがかえって恐怖を煽る結果になっているところに業の深さを感じます。
はれぶた新作はたまちゃんを主役とした掌編集。風呂場から郵便受けから、いろいろなところからこぶたが飛び出してきます。郵便受けから出た新聞
のぶたには、TVアニメの
はれぶたが放送されていた時期のテレビ欄の文字が印字されているという手の込みよう。
リンドグレーン作品のような突破力のあるギャグ色の強い作品は、名作然としたイラストではなくこういうイラストにどんどん刷新していくべきです。