その他今月読んだ児童書

ミサゴのくる谷 (児童図書館・文学の部屋)

ミサゴのくる谷 (児童図書館・文学の部屋)

スコットランドの少年が、渡り鳥のミサゴに付けた発信器やグーグル・アースなどを通して、遠く離れたガンビアの人々と交流を深めていく話です。ITが国境を越えた善意の輪を広げていく展開は新しいです。しかし一方で、身近な人の死に冷淡なのが疑問です。中盤で重要に見えた登場人物が死ぬのですが、後半でその人物が思い出されることはほとんどなく、主人公たちは遠いガンビアの人助けに興じているのです。これも現代的な人と人との距離感なのでしょうか。怪盗クイーンだと思って読んでいたら、サイボーグ009だったという。
サラの翼 (文学の扉)

サラの翼 (文学の扉)

こんなことで皮膚病が改善されるのなら、楽でいいですね。根性論で病気が治るというでたらめが病気の子どもにとっていかに害悪になるか、その程度のことも理解できない人間に児童文学を書く資格はありません。
行ってきまぁす! (文学の扉)

行ってきまぁす! (文学の扉)

札幌と思われる都市の小学生が、ノルミルというスタンプラリーのようなイベントに参加する話。このイベントにはソロプレイ不可という厄介な縛りがあって、少なくとも3人の仲間を集めなければなりませんでした。そのため、不本意なメンバーと行動を共にしなければならず、居心地の悪い思いをすることになります。そのあたりのままならなさがうまく描けていて、いい具合に嫌な話になっていました。
ともだちは きつね

ともだちは きつね

きつねのれなちゃんが偽札犯の疑いをかけられる話。なにがあってもれなちゃんを信じ続けるわにのきよしくんがイケメンすぎます。
とびばこのひるやすみ (PHPとっておきのどうわ)

とびばこのひるやすみ (PHPとっておきのどうわ)

かつらをかぶって化粧をするとびばこがなんともシュールです。
図工室の日曜日 (わくわくライブラリー)

図工室の日曜日 (わくわくライブラリー)

事故でしっぽがなくなったために作り主の少年に捨てられてしまったきょうりゅうを、図工室のみんなで慰める話です。田中六大の遊び心にあふれるイラストと相まって、今回も質の高い人情噺になっていました。妖怪「かおだけ」(首だけの石膏像)がきもこわくて、いい味を出しています。