その他今月読んだ児童書

となりの鉄子

となりの鉄子

ミニチュアのようなおもちゃめいた勝川克志のイラストが、ゆるいSF的な内容にうまくあっています。
べんり屋、寺岡の夏。 (文研じゅべにーる)

べんり屋、寺岡の夏。 (文研じゅべにーる)

画家の父親が自由人すぎたためにすっかりやさぐれてしまった少女が、家業の便利屋を手伝ってご近所の問題を解決する話です。少女が冷めた視線で周囲を見つめるさまが楽しいです。冒頭彼女は、将来の自分をテーマにした作文で「まっとうな大人になりたい」と書いたために、先生に呼び出されて説教されてしまいます。小学生の置かれた環境の理不尽さには涙が出てきます。
木曜日は曲がりくねった先にある

木曜日は曲がりくねった先にある

中学受験に失敗したために(本当の理由は別にあることがのちにわかるが)、中学では冬眠生活を送ることを決意した少女の物語。「はい、2人組つくって」というお約束の鬱イベントがあったり、なりゆきで入部することになった理科部にも〈リア充班〉と〈人生オワタ班〉の派閥抗争があったりと、いい感じにダウナー系のYAになっています。人肉や魂を素材にした、おぞましいピタゴラ装置が作り上げられています。ジェンダー論者でトランスヴェスタイトの少年がイケメン枠で出ているのが珍しいです。
ズッコケ中年三人組age48

ズッコケ中年三人組age48

中年シリーズ新刊は、ハチベエが痴漢冤罪で捕まる話です。日頃の行いが悪い上に、市議会議員という立場もあるのでたいへん。中年シリーズでは、もうしばらくミドリ市政界暗黒編が続きそうです。それにしても、モーちゃんの奥さんを娘のLINEを監視するストーカーにしたり、facebookに投稿された写真を事件解決の鍵にしたりと、那須正幹の素材を選ぶセンスの若さには驚かされます。