『妖怪スタジアム』(梶尾真治)

妖怪スタジアム (21世紀空想科学小説 5)

妖怪スタジアム (21世紀空想科学小説 5)

小学5年生の櫻井蓮が目を覚ますと、街の様子が一変していました。人間の気配が全くなく、妖怪が暴れ回っていたのです。変わり果てた街で妖怪から逃げつつ残った人間を探していた連は、やがて妖怪のナンバー1を決めるトーナメント戦に巻き込まれることになります。
妖怪が出たらどう戦うか。これは小学生にとっては定番の妄想ネタです。これを一流の作家が料理するのだからおもしろくならないはずがありません。見上入道やうわんのような、呪文を唱えると退散するタイプの妖怪は簡単。しかし、河童などは格闘しながら皿の水を落とさなければならず、弱点がわかっていても厄介です。さまざまなパターンで楽しいシミュレーションがなされています。
冒険の仲間になるのは、頭脳担当の妖怪オタクの同級生リューセイと、パワー担当の上級生美少女光島亜香里。過不足のないパーティー編成です。当然、このような場面で登場する美少女は、博士の孫か娘というポジションも担当しています。ここから強引に、カジシンらしいリリカルとSFをぶっこんできます。
頭の悪さとSFが絶妙にブレンドされた、バランスのよいエンタメ作品になっていました。