『山田県立山田小学校』（山田マチ）

山田県立山田小学校〈1〉ポンチでピンチ!?山田島

山田県立山田小学校〈2〉山田伝記で大騒動!?

日本で48番目の県、山田県にある山田小学校の小学生ライフが描かれた作品です。はじめのエピソードでは、小学校の百葉箱の世話をする石倉さんという人物が紹介されます。で、最初のページのラストに太字で「石倉さんは、百葉箱のなかにすんでいます。」と書いてあって、一気に変な世界に引き込まれます。これだけで作品の温度はわかりますね。ちょうどいいゆるさのギャグ小説になっています。このあと主人公のカナタくんが自分は石倉さんの飼育係だと口走ってしまったため、石倉さんがへそを曲げて珍騒動が起きます。
小学生の日常に近い世界から奇妙なギャグワールドに誘い込む、素材の選び方がうまいです。百葉箱に小人が住んでいたり、みどりのおばさんならぬみどりのおじさん（河童）に水泳を教えてもらったり、給食のおばさんにうっかり「フルーツポンチ」の「ポンチ」の意味を聞いてしまったために、ポンチのサンチに連れて行かれてピンチなったり……。
かと思えば、山田県には封建制度が残っていて、小学生がとのさまに年貢を納めに行くという、前提から現実離れしたシュールなエピソードもあります。
現在２巻まで刊行されています。今月中に第３巻が刊行予定。何も考えずに笑って読める作品なので、長く続けてもらいたいです。